2009年12月12日

金融大狂乱で再確認した人間の強欲と破滅

昨年9月のリーマン・ブラザーズ倒産をきっかけにして起きた100年の一度の金融大狂乱で、物(あるいはサービス)の値段が需要と供給のバランスで決まっていることを改めて再確認しました。

需要に比して供給が過剰になれば値段が下がります。逆も真です。ただ、人間の思惑で、過剰に値上がりや値下がりが起きて、それを利用して欲の深い人が利益を上げ(あるいは損し)ます。

久しぶりに読書しました。「金融大狂乱−リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか」です。

リーマン・ブラザーズで転換社債の売買を担当したローレンス・マグドナルド氏が倒産に至ったリーマン・ブラザーズの内情を暴露した本です。

著者のマグドナルド氏はアメリカの無名の大学を卒業してウォール街の大企業に就職することを目指しました。しかし、ウォール街の大手企業はアメリカの名門大学院の卒業生にしか門戸を開いていないのです。それでも彼は夢を実現すべく努力したのです。

まず、彼は冷凍食品を販売する会社に勤めて、ひたすらポークチョップを売ってセールス経験を積みました。次のステップアップは田舎の金融専門学校で学びながらの零細証券会社勤務でした。この証券会社に勤めて、金融取引規制機構が実施する6時間に及ぶ難しい試験に合格して、あらゆる種類の有価証券取引に従事できる資格を得たのです。

この資格を売りにしてメリルリンチ・フィラデルフィア支社に転職します。ここで株と債権を売って実績を上げた後、メリルリンチを退職して、友人と転換社債ドットコムを創業します。この会社を米国でITバブルがはじける直前の2001年にモルガン・スタンレーに売って、リーマン・ブラザースに転職します。債権業務部門の転換社債担当バイス・プレジデントとして活躍しました。そこでの経験が本書を書く動機になったようです。

著者が所属した部門とは別の、サブプライムローンを証券化して売っていたモーゲージ業務部門が当時のリーマン・ブラザースの花形部門だったのです。著者等が所属した部門も著者等の活躍でそこそこの利益をあげてはいましたが......

やがてアメリカの住宅ブームが崩壊して、サブプライムローンの大規模な債務不履行が発生するのです。リーマン・ブラザースは6600億ドル(約70兆円)の負債を抱えることになります。この本にリーマン・ブラザース内部の倒産に至る大混乱が細かく描写されています。特に、長期に渡り当時のリーマン・ブラザーズのCEO(最高経営責任者)を勤めていたリチャード・ファルド氏の強欲・独裁に厳しい批判の目を向けています。

どんなに良い経営者でも長期に渡って権力の座に着くとマゴすりで出世した取り巻き達の甘言に惑わされて経営を誤るのでしょう。リスク管理が甘くなるのです。最高経営責任者がリスク管理責任者になっている会社は要注意です。

日本でもこのような会社や経営者を多々見かけます。

一読をお勧めします。

金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか (単行本)

posted by SmallTalk at 17:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 独り言
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